【原発・4】 子供が甲状腺がんになったチェルノブイリ。
汚染牛乳が流通したことが原因です。(引用) チェルノブイリ発電所の火災とともに噴出した核の灰は、気流に乗って広範囲な地域に降下したのです。特にそのときに雨の降った地域は汚染しました。その地で生産された牛乳は、
高濃度に放射性ヨウ素で汚染しました。困ったことに、それは
消費地へ出荷されたのです。
ヨウ素はホルモンを造るために必須の元素で、体内へ取り込まれると甲状腺へ蓄積されます。特に成長期の子どもたちの甲状腺は、放射性ヨウ素で汚染した牛乳により高い線量を受けたのです。
甲状腺線量の80%が汚染した牛乳の摂取が原因だったとロシアの専門研究機関が報告しています。
(高田純著、「決定版・福島の放射線衛生調査」、p111より)***
福島第一での事故後、多くの「専門家」なる人々が、
メディアを通じて、以下のように発信しました。
「小児がんは、チェルノブイリの事故では、被曝の四年目から出ています」上記の情報、それ自体は事実です。
1986年4月26日の事故以来、2002年までに、
チェルノブイリでは、4800人が小児甲状腺がんを発症しました。
(ウクライナ・ベラルーシ・ロシア、3ヶ国の合計)
事故以前は、年間10万人あたり1人未満の稀な病気で、
それに比べたら、大変な急増率です。
ただし、
手術すれば助かる確率の高い病気でもあります。
発症率に比べ、死亡者は15人に止まっています。
しかし、そのメディアに登場した「専門家」なる人々は、
チェルノブイリでの小児がん急増の背景にまで、言及したでしょうか?
福島では、事故後、
直ちに牛乳が出荷停止になりました。
と云うことは、チェルノブイリと違って、日本の子供達に、
「汚染牛乳から取り込まれた80%の線量」は、全くの無関係。
そして、それだけじゃないですよね?
【原発3】で説明した通り、黒鉛炉による火災が原因で
原子炉から放射性物質が大量に噴出したチェルノブイリとは違い、
福島の軽水炉は、その多くを、格納容器内に閉じ込めてくれました。
周辺地域に漏れ出た線量が、全然違うんですよ。
甲状腺がんの原因となる
放射性ヨウ素にしたって、
福島での値は、
チェルノブイリの1万分の1~1千分の1。
高田純医師の調査によると、
原発に近い浪江町からの避難者でも、
甲状腺に蓄積されていた線量は、
平均で5ミリシーベルト程度でした。
チェルノブイリの住民には、実に最大50シーベルトもの線量が蓄積されたのです。
ミリは、シーベルトの1千分の1。つまり、
チェルノブイリは、50,000ミリシーベルトだったと云うこと。
線量の次元が違うのです。
私がたまたま目にしたのは、ウラン工学の専門家のお話でした。
「小児がんは、チェルノブイリの事故では、被曝の四年目から出ています」ウラン工学の「専門家」ですから、
医療については、詳しくご存じなかったのでしょう。
ですが、仮にも有識者と称している以上、
確認も取らない情報を、公に発信するのは如何なものか?
震災後の混乱が続く中、こう宣告されているも同じです。
「あなたのお子さん、今は大丈夫ですが、時限式で発症します」親御さんは、胸が潰れる思いだったでしょう。
2017/10/26 不破 慈(ふわめぐみ)
※アップ翌日、部分修正

内陸のチェルノブイリでは、常に甲状腺がヨウ素不足の状態です。
ですから事故後、空のゲージに放射性ヨウ素が一気にチャージされてしまった。
このヨウ素、海藻類に多く含まれていて、日本人は普段の食事から摂取しています。
とは言え、
事故対策本部が、安定ヨウ素材の配布どころか、
避難住民の甲状腺線量すら検査しなかったのは、完全にアウト。
そう、彼等は線量検査もナシに、
「福島はチェルノブイリ級に発がんする」と騒いでいたのです。 高田純医師のサイト ⇒
放射線防護情報センター ( http://rpic.jp/ )
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