Y染色体にまつわるファンタジー年末大掃除に間に合いました。
アップする所がないので、アイヌカテに入れておきます。
前半・後半の二部構成。
先ずは
皇統にまつわるファンタジーから。
皇位継承・男系男子の正統性が
核ゲノム内のY染色体によって裏付けられると
妄言を垂れ流す御仁がいます。
流石に、真に受ける人は少数だったようですが、
聞きかじりの知識をバラ撒く某教授を諌める意味でも、
拙宅できちんと説明しておきましょう。
※篠田謙一著、DNAで語る日本人起源論、p142より (岩波全書、2015.09)表はやはり、篠田謙一先生の著書からです。
本土日本・沖縄・韓国・台湾の順に並んでいます。
先ずは一番上、本土日本の欄を見て下さい。
天皇家に伝わるY染色体の系統が何れかは存じませんが、
仮に、日本人男性の3~4割を占める、D2だと考えてみましょう。
日本人男性5000万 × 0.4 = 2000万
計算を単純化したいので、かなり雑な数字を用いていますが、
日本人男性の中、約2千万人が該当するという結果になりました。
同じように、O2bとO3。
日本人男性5000万 × 0.3 = 1500万
日本人男性5000万 × 0.2 = 1000万
その次に……、そうですね、
保守の皆様が大好きな韓国の欄を見てみましょう。
ご覧の通り、韓国人男性もD2を保有していますが、
頻度としては少ないので、ここでは無視しましょう。
日本人男性とも共通する、O2bとO3を使います。
韓国人男性2500万 × 0.2 = 500万
韓国人男性2500万 × 0.5 = 1250万
さて、皇位の正統性とは、
Y染色体ハプログループによって
裏付けできるものなのでしょうか。そもそも、紀元前〇千年から存在する「王朝」の概念を、
なぜ研究されて数十年のY染色体によって規定されねばならないのか。
二度とバカな発言はしないで頂きたい。
次。
昨今、保守界の流行は、
「
チベットと日本が近縁」というストーリーですか?
「日本人に多いD2が、チベットに多いD1と近しくて~」、云々。
O2bとO3の存在は無視ですか。
随分と都合の良い脳をお持ちです。
そもそも、このY染色体ハプログループを用いて
集団の移動を語る上で、忘れてはならない大前提があります。
現代の技術水準では、
古人骨から核ゲノム内のY染色体を
抽出し、解析することは困難です。それもあって、細胞内に数百~数千のコピーが存在する
ミトコンドリアDNAで、研究が進められて来たのです。
※核ゲノム周辺でエネルギー生産を担当しかし、現代人のデータから、
系統的に近いD1とD2が、遠く離れた
チベットと日本に、高率で集積しているのは事実です。
コレを日本における分子人類学の先駆者
(創始者)である
篠田謙一先生は、どう解くか?
かつては、
アジア全域に分布していたDの系統が、
どこかの時点で大量に喪失した、と考えるんですよ。
***
我々保守活動家が、一番よく知っている事実では?
大陸での生存競争は、熾烈を極めます。
負けた場合、女性は戦利品として生き残り、
子孫を残すことも可能ですが、男性はそうも行きません。
日本であれば、仮に戦があったとしても、
勝敗さえ決すれば、それで基本的には終わり。
リーダー格が、責任を取る意味で
首を刎ねられても、身分の低い者の命までは要求されません。
結果、他の地域では珍しいハプログループが、
現代に高率で受け継がれることとなったのです。
日本の凄さを、勘違いしないで下さい。
2017/12/26 不破 慈(ふわめぐみ)
※一箇所修正(2019/05/07)

「日本の男性は北ルートで流入した!」と唱える
ネットユーザーまでいて、私はドン引きしたのですが。
先史時代において、
男性と女性が別行動を取ることは、基本的にありません。
それでは子孫も残らない。
対馬・沖縄からは、女性のみが流入し、
その都度、死滅したとでも仰るのでしょうか?
過去記事リンク:縄文・弥生の二重構造説はもう古い(2017/04/30)http://fuwameg.blog.fc2.com/blog-entry-1717.html
- 関連記事
-
私はこちら⇒b--n.net
でブログをやっているさくらといいます。
色々なブログをみて勉強させていただいています。
もしよろしかったら相互リンクをお願いできないでしょうか?
「やってもいいよ」という方はコメントを返してくだされば、
私もリンクさせていただきます。
よろしくお願いします^^