抗てんかん薬の治験(退院)後、
参加の20代男性、飛び降り自殺二つ前の記事、中盤で、抗てんかん薬について軽く触れました。
GWファーマシューティカルズのエピディオレックス。
イギリスのバイオ医薬品会社の製品です。
酒にもクスリにも逃げない生き方 (2019/11/18) http://fuwameg.blog.fc2.com/blog-entry-1971.html今回の事例とは関係がないのですが、
抗てんかん薬つながりでアップしておきます。
既にご存知の方が多いでしょうが、先ずは薬事日報の記事を。
【厚労省】てんかん薬投与後、
飛び降り死‐治験薬の副作用「否定できず」2019年12月02日 (月)
厚生労働省は11月29日、
エーザイの抗てんかん薬「E2082」の国内第I相試験に参加した20代男性の死亡例について、「治験薬との因果関係は否定できない」との調査結果を公表した。投与終了後に自殺願望などが見られたことを踏まえたもの。ただ、同社と治験実施医療機関が適切な措置を取っていたとし、「GCP省令から重大な逸脱は認められなかった」とも結論づけた。厚労省は、エーザイと実施医療機関に改善を求めると共に、関係業界に留意事項をまとめた文書を発出する考え。
厚労省が調査結果 被験者は、同剤の第I相試験に参加し、1日当たりの最高用量を10日間反復投与され、投与中は軽度~中度の眠気や浮動性めまいなどが見られたものの、それ以外は特段の異常を訴えずに退院した。
その後、退院当日に被験者が自主的に再来院し、幻視や幻聴を訴えたが、治験責任医師は受け答えがはっきりしており、容態が安定していたことなどから、経過観察を決定した。
*全文閲覧には、薬事日報 電子版への申込みが必要です。https://www.yakuji.co.jp/entry75941.html厚生労働省のサイトに、報告の詳細がアップされています。
別添2の、調査結果報告書(PDF)から、少しだけご紹介します。
引用部は長いので、追記欄に掲載させて頂きます。ここではその概要を。
*** ***
治験に参加した成人男性(健康な20代)は、
その治験の最中(入院終盤)から、
幻視・幻聴・不眠といった
症状に苛まれていたのですが、それを
報告していなかったそうです。
で、入院期間が終了(退院)してから、
自主的に再度、来院し、不調を訴えました。
治験の責任医師は、
心療内科への受診を奨めましたが、
男性は拒否。
受け答えもハッキリしており、眼振等の異常もないことから、
入院の必要はないだろうとの判断で、男性は帰宅しました。
それが6月24日。
そして、翌日の6月25日(午前8時)には、
男性は
電柱から飛び降りて死亡してしまうワケですが。
同25日、
ラットを使用した毒性試験で、網膜萎縮が報告されたそうです。
視神経付近の細胞数が減少することによるもの。これを受けて、
治験の中断が翌26日の午前8時55分頃、通知されました。
そして、同26日の午前中に、警察から、
治験に参加した男性が死亡したとの連絡が入ったそうです。
同26日午後には、米国で同時に実施されていた治験も中断されました。
*** ***
治験を実施した医療機関には、精神科の医師はいなかったそうです。
と言いますか、治験の専門機関には、最初からいないのが普通だそうで。
※つまり治験の専門医がいる今後の改善点として取り組みが為されていくそうですが、
患者さんを対象とした臨床試験でないとは言え、ちょっと驚きました。
2019/12/02 不破 慈(曾祖母はアイヌ)

以下、厚生労働省のサイトにアップされた報告書(PDF)から。
部分的な抜粋です。ご覧になりたい方だけ、追記からどうぞ。
↓↓↓
健康成人を対象とした治験における
死亡例発生事案に係る調査結果の公表について令和元年11月29日(金)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08131.html※一部引用・ 本被験者は、令和元年6月24日(Day 14)午前に治験実施計画の規定どおり退院したが、同日午後に規定外で自主的に来院(以下、「規定外来院」)し、令和元年6月22日(Day 12)から幻視・幻聴が発現していること及び令和元年6月23日(Day 13)から眠れていないことを訴えた。規定外来院時の治験責任医師による本被験者の診察において、入院期間中にこれらの症状を申告しなかった理由について、「病院では様々な音が不快で、早く家に帰りたかったため、入院期間中には症状を訴えなかった」と本被験者は説明した。
・ 治験責任医師は、規定外来院時に本被験者に心療内科の受診を勧めたが、被験者本人が心療内科の受診を希望しなかったこと、治験責任医師は入院や治験の検査によるストレスが症状の要因になっている可能性があると考えたことから、症状が続く場合は心療内科の受診を検討することを本被験者に伝達した。その上で、治験責任医師は、本被験者が幻視・幻聴について理路整然と説明する等、その言動に異常は認められないこと、眼振等の症状も認められなかったことから、有害事象の程度や状況に鑑みても入院を要する程度ではないと判断し、本被験者に翌日に医療従事者が連絡することや次回来院日を確認して、本被験者を帰宅させた。
・ 本被験者は令和元年6月25日(Day 15)の午前8時に電柱から飛び降り死亡したことが、6月26日(Day 16)午前に警察から治験実施医療機関に連絡され、治験実施医療機関から治験依頼者に報告された。当該事象は異常行動として報告された。警察による捜査の結果、本被験者の死亡は脳挫滅によるものであった。また、退院後に他の薬物を使用した形跡は発見されず、剖検時に採取された血液及び尿検体のいずれからも覚せい剤や睡眠薬等の異常行動を誘発すると考えられる薬物は検出されなかった。
・ 以上より、治験責任医師及び治験依頼者は、本被験者における死亡は異常行動によるものであり、治験薬との因果関係は否定できないと判断している。
2.3.2 本試験の経過及び他の被験者
(本試験及び同時進行の本薬の他の治験)の概略について 本試験の治験中断までの経過について、治験依頼者は以下のように説明している。
・ 令和元年6月25日、治験依頼者は、臨床試験と並行して実施されていたラット26週間反復投与毒性試験において視神経乳頭近傍の視細胞数減少を特徴とする網膜萎縮が認められたとの情報を入手した。治験依頼者は、当該所見は不可逆的変化である視覚の質に影響するものと考え、実施中であった本試験Part B(反復投与)コホート4の中断を決定し、令和元年6月26日午前8時55分頃、翌日以降の投与を中止することを治験実施医療機関に伝達した。
・ また、同日午前に警察から治験実施医療機関に本被験者死亡の連絡があり、同午前中、治験実施医療機関は治験依頼者に本被験者の死亡を報告した。同日午後、当該死亡例の報告を受けた治験依頼者は、米国で実施中のE2082-A001-201試験(以下、「海外201試験」)についても中断を決定した。
※別添2、調査結果報告書より抜粋(p15-16)2.3.5 死亡例を踏まえた治験依頼者の今後の方針について 機構は、First in Human試験で死亡例が発生したことから、今後実施する臨床試験における安全対策の方針について説明するよう治験依頼者に求めた。
治験依頼者は、今後は以下の方策をとることを検討中であることを説明した。
・ 中枢神経系への作用を有しており、精神症状に関連する有害事象の発現が想定される治験薬等の治験を実施する場合には、原則、精神科医及び/又は神経内科医が所属している医療機関でのみ治験を実施する。
・ 治験責任(分担)医師の専門の診療科外の有害事象の発現が想定される場合には、想定される有害事象を試験開始前に的確に評価した上で、対処可能な専門医(例えば、精神科医、神経内科医、眼科医、皮膚科医)による診察が可能であり、緊急時の対応(例えばICU)が可能であることが確認された医療機関でのみ治験を実施する。
2.4 治験依頼者から報告された事項以外の本被験者に関する情報 治験依頼者から報告された事項以外に機構は以下の情報を得た。
本被験者の死亡後に本被験者の手記が自宅から発見された。手記はDay 14の夜からDay 15の朝までの間に記されたものと考えられ、筆跡は乱れ誤字も多く混乱した様子が伺われた。精神症状について以下の記述があった。
・ 治験薬の投与を受けるまではうつになったこともなく、精神症状はなかった。
・ 聞いたことのある音が脳内で複数重なり合う幻聴がある。
・ 他の形が漫画の一場面や絵画、キャラクターのロゴ等様々に見える。
・ 夜が来ても眠れない。体が眠っても意識が起きている感覚がある。
・ 次々と考えが浮かび上がり、思考が瞬時に入れ替わるなど頭が極めて冴える感覚がある。
・ 一方自分は支離滅裂であり、壊れている感覚がある。
・ 自分が障害者になってしまったと感じる。
・ 自分がなくなる恐怖がある。殺してほしい。
・ この状態なら自殺する。
※別添2、調査結果報告書より抜粋(p20)健康成人を対象とした治験における
死亡例発生事案に係る調査結果の公表について令和元年11月29日(金)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08131.html……あのですね、障害当事者から言わせて頂きますと、
障害者になっても、人生は終わりませんから。
心療内科や精神科に掛かったからと言って、不名誉でも何でもないし。
私なんて、3~4ヶ月に一度、近況報告だけして帰って来ますけど。
まして、この男性の場合、原因(責任の所在)がハッキリしていますから、
充分な補償も、その後の人生のサポートだって、全部やってもらえた筈です。
要りもしない精神医薬を、一日に20種以上も処方されて、
そのまま泣き寝入りさせられた私と違ってね。
※自分で断薬に成功健康に自信があったからこそ、治験に参加したのでしょうし、
元々健康だったからこそ、一時的な症状で済んだかも知れない。
きちんと治療すれば快復できたかも。まだ20代だし。
2019/12/02 不破 慈(曾祖母はアイヌ)

ちなみに、
良識的な精神科医を見分ける基準としては、多剤処方をしないこと。
現場対応で複数の処方をする際も、
せいぜい一度に3種類までだそうです。
私も、病院を変えた時、以前の20種超から、3種5錠へと減りました。
2年ぐらい掛けて1錠まで減らして、その後は自分で断薬です。
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