ベトナムのSARS対策に学ぶ日本国政府のお花畑対応に呆れている人は多いでしょうが、
政府が頼りないからこそ、我々一般人がきちんと学ぶ必要がある。
中国発の新型コロナウイルスと言えば、
2003年のSARSもそうです。
発生源は広東省でしたけれど。そんなワケで図書館に行って来ました。
※画像上部の青いものは紙付箋です。2003年7月、つまり16年と半年前に緊急出版された本です。
まだSARS感染拡大で、全世界が戦々恐々としていた時期ですね。
著者は医学博士の
中原英臣氏と、科学評論家の
佐川峻氏。中経出版から。
初心者でも読みやすいかと。長くなりますが、第一章からご紹介しますね。
※漢数字をアラビア数字に、改行も加えました。 ↓↓↓
ベトナムが制圧できた理由 中国で感染者が増加していた4月28日、ベトナムがSARSの制圧宣言を出した。6月25日現在、ベトナムでの再発は確認されていない。香港のように医療施設が充実しているわけでもなく、病室内の空気をフィルターを通して外に放出する「陰圧室」もないベトナムが、なぜSARSを押さえ込むことができたのだろうか。
ベトナムで最初のSARS患者がハノイのフレンチ病院に入院したのは、2月26日だった。当初は病気の原因がわからず、病院の医師やスタッフに感染が広がった。こうした事態を受けたフレンチ病院は外来を閉鎖し、隣のバックマイ病院に患者を集めた。
感染の拡大を防ぐためには、まず医者への感染を防ぐことが大切である。ベトナムでは、医師や看護師がWHOの指導を受け、手袋を二重にしマスクや長靴、防護服で完全な装備をして治療にあたった。その結果、バックマイ病院での
院内感染を最小限にくい止めることができたのである。さらに、
患者をバックマイ病院の一ヵ所に集めることに成功したことによって、ウイルスが市中に広がることなく、早期にSARSを制圧することができたのである。患者の隔離に成功したことが、最大のポイントである。
いちはやく政府がWHOに協力を要請し、
ベトナムの医療を支援している日本の調査団から指導を受け対応にあたったことも、早期封じ込めに成功した大きな要因だろう。ベトナムでは、
過去にコレラが集団発生したときにも、ベトナム戦争の経験を生かして防災無線などで周知徹底させた実績があったのだ。今回もそのときの教訓が生きた形になったのである。すべての対応が迅速で適切だったのだ。
もう一点、
徹底した情報公開と追跡調査がSARS封じ込めの大きな武器となった。
まず
SARSウイルスを国内にもち込んだ人をつきとめ、立ち寄り先を徹底的に消毒した。さらにSARSで
死亡した患者の氏名までもインターネットで公表するなど徹底した情報公開をし、国内に散らばった
接触者の追跡調査を行ったのである。
「患者の隔離」と「情報公開」、これがSARS制圧の大きなカギである。 これに対し中国は、当初WHOの調査団受け入れを拒み、自分たちだけでウイルスを押さえ込もうとした。その結果、情報公開が大幅に遅れ、街中にSARSが蔓延し感染拡大につながってしまったのである。 日本は、ベトナムや香港に医師を派遣してSARSの調査にあたった。つまり、SARSを押さえ込む方法を知っているのである。心配なのは行政の対応である。早期の対策をきちんと取らずに、中国のように人命よりも国のメンツを優先してしまえば、同じ轍を踏んでしまうことになりかねない。「人命と役所のメンツ」のどちらが大事なのか、行政はしっかりと考える必要があるのではないだろうか。※新型ウイルスの正体とわが身の守り方、p40-42より……重要なのは、ベトナムで感染拡大防止に貢献した医師が、
日本には「いる」と云うこと。実地で経験を積んだお医者様です。
ですが、文中で指摘された通り、今回も行政の対応は後手後手でした。
中国が「人命と国のメンツ」を天秤に掛けて、国のメンツを選ぶなら、
日本の役人は、「役所のメンツ」を選ぶのか。責任の押し付け合いか?
自民党を擁護するワケではないですが、小野田紀美参院議員のツイート。
政治家がどんな提案をしても、
官僚が首を縦に振ってくれなければ、
何一つ実現できないのだと判ります。
国内最大の拒否権集団です。
よく言われるでしょう? 「
日本は官僚主導の政治だ」と。
自公連立政権が長続きするのは、官僚と上手く付き合えるからです。
言い換えれば、何でも言うことを聞く「お人形」です。そのお人形すら
務まらなかった旧民主党政権は、たったの3年という短命に終わりました。
「役所のメンツ」を、「人権」に置き換えても良いですね。
授業で習った通り、上司に言われた通り。
人権を守ることが最優先。
『僕は優等生です、出過ぎた真似はしません、言い付けをきちんと守ります』
「人権>人命」という奇怪。2020/01/31 不破 慈(曾祖母はアイヌ)
※アップ翌日、加筆修整
※再び引用 まず、感染者が見つかった場合、感染経路を断つために患者と接触した人を素早く隔離するのが最も重要になってくる。いったん沈静化したものの感染が再び広がった
カナダのトロントでは、SARSが再発した際、多くの感染者とSARSの症状が出た高校の生徒や関係者をいち早く隔離した。その数は、実に6000人以上に及んだという。日本のマスコミはまるで「大事件」のように報道したが、これはSARSの感染拡大をくい止めるための当然の措置であり、決してやりすぎではない。
※新型ウイルスの正体とわが身の守り方、p68より
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