朝鮮半島・釜山郊外の島にある
獐項遺跡から出土した2体の人骨。約6300年前に生きていた人物で、
現代韓国人より日本人と近縁でした。
※「科学」2022年2月号、p134より(岩波書店)
ちょ~っと図が見難いと思うんで、必要な部分を拡大しますね(↓)

※「科学」2022年2月号、p134より(岩波書店)、拡大図
左上に縄文人のグループがあります。
真ん中ぐらいに、現代日本人のグループ。
そして、右下には中国(北京)と、隣に南中国。
左上に行くほど縄文寄りで、右下に行くほど大陸寄りなんですが。
獐項(ジャンハン)遺跡の二人は、現代日本人に近い位置にいます。翻って、現代韓国人。グループを形成できるほど解析数はありませんが、
現代日本人と中国(北京)の、ちょうど中間ぐらいに位置しますでしょ?
コレって、韓国人にも、縄文と共通する遺伝的要素があるということ。
実際、
現代韓国人のゲノム中、5%程度が縄文人と共通するそうです。
これには、二通りのシナリオが考えられます。
①アフリカ⇒アジアへと移動してきた人類の、古い系統が、
大陸を囲むように、列島周辺に残った(
東ユーラシア基層集団)
②九州北部と半島南部で交流があり、縄文時代に遺伝子が伝わった。
私は、両方だろうな、と思っています。
そうして、時代が進み、長江流域から
水稲水田耕作民の
大開拓時代(!)が始まると、
農耕民のゲノムが東アジアに拡大。
当然、列島よりも半島のほうが、縄文人と共通する遺伝要素は薄まります。
加えて、弥生時代の人骨を解析すると、①遺伝的に縄文人の「大友8号」、
②縄文・渡来、双方の遺伝的特徴を併せもつ「下本山2号・3号」等々、
多様性に富むことから、
列島内で確実に混交が起きたと考えられます。
対馬海峡を挟んだ交流は、縄文時代から変わらず続いていたため、
半島側で混交する人々もいたでしょうが、
半島から移住した人々が、そのまま現代日本人の祖になったという、単純な図式は成り立ちません。現在、解析されているのは半島南部沿岸から出土した古人骨だけで、
同時代の半島内陸部については、まだよく解っていないそうです。
古墳時代以降の渡来民は、現代韓国人に近かったと思われますが。
今後、解析数が増えれば、もっと詳細なシナリオも描けるでしょう。
2022/05/15 不破 慈(曾祖母はアイヌ)
韓国人と縄文人の近縁性については、以前から言及されていました。
Y染色体ハプロ型のD系統と、ミトコンドリアDNAハプロ型のN9b。
パーセンテージとしては僅かですが、韓国の人々も保有しているんです。
- 関連記事
-
その後、大陸側から半島に流入したことで、人種的には多少混ざりながらも、日本人の形跡は希薄になっていた模様です。