東北アジアは土器の出現が早かった。
東北アジアにおける土器の出現 ※漢数字⇒アラビア数字 実は、日本を含む
東北アジアは、世界でもっとも早く土器が出現した地域であることがわかってきている(佐藤宏之『旧石器時代』)。その時期は、おおよそ次の四つの段階に分かれる(図10)。
①約2万2000年前の寒冷期 : 東・南中国で出現
②約1万6000年前の温暖期に向かう直前 : 東北北部・九州北部
③約1万4800年前の温暖期 : 沿バイカル・アムール流域と北海道
④約1万3000年前~1万1700年前の寒冷期 : 中国北部・北東部(中略) このように、東北アジアの土器は
複数の地域の異なる環境において
多元的に現れており、どこか一ヶ所で現れた土器が各地へ拡がっていったという状況ではなかったと考えられている。
※藤尾慎一郎「日本の先史時代」(p41-43より)/中公新書2654(2021.8.25)
図10画像はp42より、原図は佐藤宏之「旧石器時代」敬文社……2万2000年前というと、
最終氷期の最寒冷期、真っ最中ですが。
中国の東南部だと、緯度的には台湾や沖縄、鹿児島南沿岸部と同じ。
当時は
温帯域に属しました。今では亜熱帯の地域ですけれど。
保守系の人は、中国・東南部の土器を捏造と考えていますが、
2012年の発見は、
米国のチームとの共同研究だったんですよね。
今後、測定年代が引っ繰り返る可能性が、ゼロとは申しませんが、
現段階で全否定できる状況にもない。なにせ「東北アジア」なので。
縄文文明の支持者は、その裏付けとして「世界最古の土器」を提示します。
つまり、土器の出現が、文明の証拠になると考えているようなのですが。
基本的に、
土器は定住化のサインなんですよ。定住化に伴って普及する。
移動生活では、家財として持ち歩くのが大変。重いし。落とせば割れるし。
東北アジアでの早い登場は、季節定住による利用と考えられています。
実際、日本でも
全国的に土器が普及し出すのは、1万4500年ほど前で、
定住化の確たる証明となる、
竪穴住居の出現時期と一致するそうです。
2022/05/22 不破 慈(曾祖母はアイヌ)

ちなみに、最古の土偶は、
中央ヨーロッパから出土しています。
土偶と言いますか、
土製のヴィーナス像。ちゃんと焼成されたもの。
3万年前の品。チェコ南東部~オーストリアにかけてのパブロフ文化。
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