二番目の山羊

北海道出身の父はアイヌクォーター、福島出身の母は「蝦夷のアベ」

虐待、昔話。『サモトラケのニケ』―美しさの理論―

母はアタシに、戦争教育をするのが好きでした。
物心付いた頃から。「夏」が嫌いでした。恐怖でした。
8月になると、戦争番組が増えます。
深夜放送以外は、全て「勉強」させられました。


丸焦げの焼死体、なんて、良い方です。
爆撃で飛び散った内腑・腐乱死体の山。

内容の複雑な部分はきちんと理解出来ずとも、「映像」は、
しっかりと幼子の脳裏に焼き付けられます。

母からすれば、
「現実に体験した人の事を思えば、映像くらいで泣くんじゃない!」
そういう事なのでしょう。


中国から引き上げる際、「泣くと見付かるから」と、
串刺しにされた赤子の話も良く覚えています。
年齢が近い分、恐怖でした。

小学校に上がる前、既に「従軍慰安婦」という語句を知っていました。
5歳・6歳の女の子が、です。


具体的には知りませんでしたが、
「女の人が、兵隊さんに酷い事をされていた」とは認識していました。
まぁ、「子供のレベルでの」理解です。






ただただ。「人間に対する恐怖」を植え付けられ。私は良く泣く子でした。
何かトラブルがあると、少しの不安が、
根底に植え付けられた恐怖の「呼び水」となるのでしょうか。

10歳ぐらいになると、
アスペの強みである、論理思考が発達して来ます。
私は、来る日も来る日も考えていました。


「何故、人間はこれほどまでに醜いのか?」
「何故、人類は滅亡しないのか?」
「何故、自分は、これほどまでに
  醜い種族に生まれ付いたのか?」



身の毛が弥立つ、とは、まさにこの事。
「自分が地球上、最も劣悪な種族である」と
 考える度、人として生を受けた今生を呪いました。



人間を見て、美しいと感じた経験がありませんでした。
これほどまでに「醜い生物」は、他に存在しないからです。

テレビに映る、俳優さんを見ても。女優さんを見ても。
「……?……」

私と同様、そこそこ絵が描けた兄に、質問した事があります。
「どうして、画家さんは、女の人の裸なんて描くの?」


美術が好きなので、裸婦像を多く目にしました。
が。不思議でならないのです。
『何故、“美を追求する芸術家”が、
“この世で最も醜い人間”を描きたがるのか?』



兄は答えました。
「女の人の裸は、曲線が多いから、絵の練習になるんだよ」

ああ、なるほど! 皆、練習で描いたのか。
当時、小学生だった私の謎は解けました。







人間に対し、「美しい」という感情を、一度も感じる経験が無いまま。
中学に上がり。三年生になり。四月、新しい教科書が配布されました。

美術が好きでしたので、真っ先に、美術の教科書を捲り。
息を呑みました。
――美しい、と。

そこには、暗闇に浮かび上がる、「サモトラケのニケ」。
両腕は根元からもげ、首から上もありません。
が、初めて、「人の容(かたち)」をした「存在」に、「この感情」を抱きました。
――美しい。


中学三年生の春。
14歳で、初めて、気付く事が出来ました。
「人間とは、美しい生命体なのか?」



そこから、考えに考えました。
「何故、ニケは美しいのか?」
「今、生きている人間も、ニケのように、美しくなれるのか?」



そうして得た「解」です。


人間は、
自らの醜さから逃げない時、
何より美しい。
 









地球史上、最も劣悪で、最も醜い人類が、
これ以上、醜くならない為には、
自らの醜さに立ち向かうしかないのです。
醜いからこそ、得られる美しさなのです。
醜くなければ、得られない美しさなのです。
目を背けたくなる程、堪え難い醜さに立ち向かう、
その勇気が、決然とした凛々しさが、清い高潔さが、


我々が手にする事の出来る、
 たった一つの美しさなのです。



自分の醜さから逃げない、立ち向かう。
私が構築した、「美しさの理論」です。




2013/09/09  不破 慈


【後発記事】
2013/09/09 「自信を得るため」の「理論」


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[ 2013/09/09 22:11 ] アスペ考/心理学 | TB(0) | CM(6)
ふわふわさん、凄すぎ!!
小学生からそんなこと考え出して、
中学生で答えを導き出すなんて!!!

私の中学時代・・・
いじめられてて、いかに一日をやり過ごすか?
しか考えてなかったorz

ニケの事は、写真かなにかで見た事はあるけれど
それが「サモトラケのニケ」という名前だとは
ふわふわさんのブログで知りました。
難しい事は判らないけれど、感覚で美しいと思いました。
なんだろう・・、「不完全の美」なのかな?

ちなみに、絵ではダリの絵が好きです。
不安定な世界観と、力強い絵の感じに惹かれます。。
[ 2013/09/09 22:55 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
ポレポレ様★

コメントありがとうございますm(_ _)m


> ふわふわさん、凄すぎ!!
> 小学生からそんなこと考え出して、
> 中学生で答えを導き出すなんて!!!


いや、私の場合、流れとして、必然的に考えます……。

2歳だか3歳だか4歳だかの頃から、
残虐殺戮の映像をこれでもか、と見せ付けられ、
「人間に対する恐怖・人間の悪辣さ」を植え付けられていたワケですから……。

中学時代、この「解」に至らなければ、今、どうなっていたでしょうねぇ……。

「反社会性人格者」なら、まだ良い方で、悪くすれば「テロリスト」では?
知能的には高いですから、方向性を間違えば、かなりの事をやらかすと思います。

母には、逆に感謝して貰いたいです。
産んだ子供が、「アタシ」でなければ、この虐待教育で「潰されて」いたでしょう。

アタシが非行に走らなかった理由、「仏教哲学」とか、
色々考えてみましたけど、最近、違うなぁ、と思ってます。

「アタシ自身の精神力と頭脳」に拠るところが大きいと。
「その頭脳」に、「レベルの高い倫理道徳教育(仏教)」が作用したのだと。

「仏教哲学を学んで育てば、虐待を受けても堪えられるか?」
「アスペであれば、虐待を受けても堪えられるか?」

そうとは限りませんから。
よく、ここまで安定した人格を獲得したものです。
生い立ちを考えれば、驚異ですよ。



> 私の中学時代・・・
> いじめられてて、いかに一日をやり過ごすか?
> しか考えてなかったorz


ポレポレ様のような心優しい方をイジメ? 酷い話です。
逆にアタシは、中学になる頃には、もう「論理思考」がかなり発達していたので、
だいたいの事は、ガンガン突っ撥ねてました。
「群れる」真似をしないんです。
だから、いじめられてたコが、アタシの周りに集まって来ました。

『論理思考のアタシ』には、「弱いからイジメて良い」という発想が有り得ないし、
『自分の論理思考に基いてしか行動しないアタシ』には、誰も攻撃を仕掛けて来ない。
アタシの周りに居れば、安全なんです。

コレに気付いたのは、随分経ってからです。
卒業してから「あのコ、他の子からいじめられてたから、君と良く一緒に居たんだよ」と。
話してくれりゃ良かったのに……。
まぁ、アタシに話したら、真っ向勝負仕掛けてしまうし、
取り敢えず、避難場所としてそこに居てくれれば、良かったのかも、ですが……。

一番、情け無いのは、気付いて上げられなかったアタシです(泣)



> ニケの事は、写真かなにかで見た事はあるけれど
> それが「サモトラケのニケ」という名前だとは
> ふわふわさんのブログで知りました。
> 難しい事は判らないけれど、感覚で美しいと思いました。
> なんだろう・・、「不完全の美」なのかな?

うふふ♪
「サモトラケのニケ」は、アタシの恩人です。まさに「女神」。
ギリシア神話に登場する、『勝利の女神』です。
ほら、「ナイキ」ってありますでしょ? スポーツ用品メーカー。
「ニケ」の英語読みが「ナイキ」です。



> ちなみに、絵ではダリの絵が好きです。
> 不安定な世界観と、力強い絵の感じに惹かれます。。

おおお! ダリ! ポレポレ様は、美術にも見識が!!!
あ、テレビ東京系列の、「美の巨人たち」、ご覧になってます???
関西では、放送されてない???

アタシは、洋画より、水墨画が好きで。
「長谷川等伯」の「松林図」が、特に好きですね!

あの絵、「空間」を描きながら、そこの「空気」を描く事により、
実は「精神的な境涯」を描いてるんです。等伯なりの「悟り」でしょうか。

水墨画、全般に好きです。
「すべての色彩を捨てる事により、すべての彩を手に入れた」。
『一切を棄て、一切を得る』

東洋思想、あるいは、「日本国・和の精神」。非常に深いです。



ダラダラ長くなってますが(汗)

ああ、ポレポレ様がお気遣い下さった、「兄の右腕」。
アタシは、一般的な子供達ほど、心に傷を受けてないんで、大丈夫ですよ。

見慣れてるんです。もっと酷いものを。確かに、「映像」ですが、幼子には、
「テレビで見る映像も、身の回りの現実も」、さして違いはありません。

確かに、「コレは大変な事態では?」と思いましたが、
当時は「病院で投与された(デソ)モルヒネの副作用」とは知りませんでしたので、
「原因不明」と、親からも兄からも説明を受けており。

『原因不明なら、遺伝の可能性もある?
 なら、アタシの腕も、そのうち腐り落ちるかもな…』

と、心の準備を整えていました。怖いぞ、小学4年女子!(笑)
大多数の子供達と、脳も生い立ちも違い過ぎまして(苦笑)

でも、ポレポレ様のお気持ちは、凄く凄く嬉しいです。
泣きたくなるくらい、嬉しかったです。
アタシには、そんな事をしてくれる人が、一人も居なかったので。

定型の方と、コミュニケーションや思考方法は違いますが、
「人様から頂戴したお心遣い・配慮」が理解出来ないほど、頭脳レベルは低くありませんから。


ポレポレ様始め、皆様の温かいお心に応える為にも、
私も、定型の方々の「感情優先思考」を傷付けない言動、を、工夫していきます。

一朝一夕には出来るようになりませんが、
時々、コメント欄からご指導頂ければ幸いです。
[ 2013/09/11 17:36 ] [ 編集 ]
美しいものを目にした瞬間のショックというか衝撃はすさまじいものだったんだね、きっと。
そしてその出会いがふわふわちゃんを目覚めさせてくれたのだから、一生に残る思い出の出会いだったんだと思う^^

>人間は、自らの醜さから逃げない時、
何より美しい。

↑これを子供の時にすでに学んだって…ふわふわちゃんはやっぱり違うね@@!

私はさ、真逆だよ~w
小さいころから美しいものしか見せられてこなかった。
母親が常に最高級のものを求めてた人だから、物心ついた時から美術館とかデバートの陶磁器売り場に連れていかれたのを覚えてる。
でも、そういう美しいものを見せてくれる母親が、通りすがっただけの人に『何見てるの?』…とか言っちゃったりしてw
だから幼心になんとなく違和感があったよ。
でね、小さいころに祖母の実家近くにある閻魔大王様がまつられてるお寺に連れていかれた事があってね。
その時に見た地獄絵が衝撃的だったw

はじめて醜い人を見て、世の中って綺麗な事ばかりじゃないって感じたよw

面白いね、ふわふわちゃんは美しいものを見て衝撃を受けて、私は醜いものを見て衝撃を受けたw

そして今、ここで出会ってる。
なんて言っていいのかわかんないけど、面白い出会いだよね~w
[ 2013/09/11 22:37 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし

ウダモ様★


> 美しいものを目にした瞬間のショックというか衝撃はすさまじいものだったんだね、きっと。

「自然」=「美」
「人間」=「醜」


でしたからねぇ、幼少期のアタシの世界観……。
「なんで、人間だけが穢いんだろう?」と、不思議で仕方なかったです。


>そしてその出会いがふわふわちゃんを目覚めさせてくれたのだから、
>一生に残る思い出の出会いだったんだと思う^^

ハイ☆ ニケは、本当に「女神様」です★


> 私はさ、真逆だよ~w
 (中略)
>はじめて醜い人を見て、世の中って綺麗な事ばかりじゃないって感じたよw

ホント、お母様は……e-263  まぁ……、言わせて頂くと……、
『美しいものを見て、自分も美しくなった気がしていた』方なんだと……。
私が構築した「美の理論」からはズレてらっしゃいます……e-351


> 面白いね、ふわふわちゃんは美しいものを見て衝撃を受けて、私は醜いものを見て衝撃を受けたw
> そして今、ここで出会ってる。
> なんて言っていいのかわかんないけど、面白い出会いだよね~w

だからこそ、「必要な出逢い」なのだと。

両方向の「極端」から、互いに「それだけでは無い」と覚った二人です。

一番遠い処から、歩いて歩いて、やっと出逢った。
そして、互いの存在に気付きました。
気付く事なく、通り過ぎて行くばかりの「人込み」の中で。
そして、互いの「価値」を、認め合っています。


コレ、「新時代構想・宝瓶宮ルネッサンス」カテの最初の記事の話ですが、
経済階層的に見ても、面白い関係だと。

ウダモ様は、世界レベルで見れば、「セレブ」では無いけれど(笑)、
世間一般、庶民の目から見れば、「プチセレブ」くらいには該当するかと(笑笑)
あ、「プチプチセレブ」?(笑笑笑)

対して、私は、経済階層が低い出自です。まぁ、父親の放蕩もあって、ですが。
幼少期、米粒が一つも無くなる体験をしている30代、なんて、そう多くありません。
戦時下の日本では無いのですから。

古い時代であれば、ここまで経済レベルが違う人間同士、関わる事は滅多にありませんでした。
「主と奉公人」と言った立場であれば別ですが。

「血筋による身分社会」 → 「経済による階層社会」と、時代が進んで来て、
今、もう、その垣根が崩れて来てるんです。

そりゃ、冗談交えて「お金持ちじゃ~んvv」ぐらいは言いますけど(笑)
別に、嫉妬や妬みで言ってるワケじゃない。

ウダモ様も、私も、「住んでる家」や、「収入の有無」や、「学歴」、とか?
そんなもので、互いを量ってないんですね。

本当に、その人間、「人格」を見てる。
生い立ちや、環境含めた、背景を考慮に入れた上で、「人間」を見てる。
努力や、性格レベルに終わらない「人格」を見てる。

コレが、血筋や身分、経済力では無く、
「人として優れている事を評価される」時代の兆候では?と。


兆候と言うと、仰々しいですが、
身近に見て取れる、時代の変化」、だと思うんです。


面白いじゃないですか! 超絶、刺激的です☆
その時代に生まれ付いたのなら。時代の最先端を満喫しなければ☆

今現在、この時代の最先端は、
「心一つ、自分自身の在り方」で、手に入れられるものです。

「自分次第」なんです。
自分自身の努力で、必ず、手に入れられるものです。
[ 2013/09/12 14:27 ] [ 編集 ]
ふわふわさんへ!!
このたびは大変な励ましをいただき嬉しく思います。‼感謝です!
凄いレベルのブログですねー。!
戦中派の私などは、毎日戦争のことで兵隊さんにあこがれる日々でしたが、今の教育は全く反対で「平和」:?で羨ましいですねー。
しかしはっきりと、歴史の事実を教えてほしいです。はだしのゲン」の様にネ^^。

弘法大師の「以和貴為」は平和に話し合って談合することは良いことだと思う人もいる世の中ですから・・・日本の言葉もダメになってきましたね^^。又来ますので宜しくねー。☆‼素敵!
[ 2013/09/14 11:57 ] [ 編集 ]
Re: ふわふわさんへ!!

鷹虎様★

はうあっ!
こちらこそ、丁寧な御礼のお言葉を頂戴しまして、恐縮です!

ええ? 戦中?
鷹虎様、ウダモ様より、少し上くらいのお年頃だとばかり思ってました!
母の兄姉くらいのご年齢の方でいらしたんですね!
母は、10人兄弟の末娘でして。祖父母は、明治生まれです。


>はだしのゲン

小学校時代、男子児童に大人気で、アタシは一度も手に取れませんでした……。
あ、いや、一冊だけ読めたかな? 競争激しかったです。
子供達だって、学びたいんですよね!
ただ、アタシの母のように、小学校上がる前から
「従軍慰安婦」とかはやり過ぎだと思いますが……。
きちんと、話の内容が判別出来ない幼子に、
爆撃死体の映像だけ見せ付けても、
反社会性人格を有してしまう危険性の方が高いと。
でも、年齢に応じて、きちんと教育していかなければ。
今は、色んな事が希薄になっているようで……。
嘆かわしいです。


> 弘法大師の「以和貴為」は平和に話し合って談合することは良いことだと思う人もいる世の中ですから・・・

アレ? 空海上人? あ、空海上人も仰ってらしたんですか!
私は聖徳太子様のお言葉として、母から教わりました。
スミマセン、一瞬、拝見した時、「んん?」と(汗)
四字熟語の状態では見慣れてなくて(汗)
もう一回、見直して、ああ、「和を以って貴しと為す」だ! と。

まぁ、聖徳太子様も、実在の人物では無かった、とほぼ判明したようですが。
私が推してる説はコレです。 → 『馬やとのおう子』★

と言いますか、あの……、
「平和に話し合って談合云々」、って……。
え? 本当ですか??? そんな方が?????

あ、でも、「天照大神」を、
「てんてるだいじん」って読む人も居るらしいですから……。

あ、頭痛e-263


>又来ますので宜しくねー。☆‼素敵!

す、すみません、ありがとうございます! アタシも、またお邪魔しますので!

[ 2013/09/14 21:12 ] [ 編集 ]
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Author:ふわふわ
不破 慈 (ふわ めぐみ)

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