二番目の山羊

北海道出身の父はアイヌクォーター、福島出身の母は「蝦夷のアベ」

SS:堕天使(3)【R15G】

「堕胎」がテーマです。
心的外傷のある方は避けて下さい。

※性的描写はありませんが、一応、年齢の低い方にはお勧めしません。

終話。



「貴方、どうしたの?!」
妻が夫を振り向いた、瞬間。

破裂音。

「きゃああああ!」
愛娘の頭部は、吹き飛んでいた。

白い生クリームのケーキに、首だけが突っ込んだ。
四方八方に、脳・皮膚・頭蓋骨。バラバラの粉々。
柔らかい髪がゆっくりと舞って落ちて来た。
テーブルの上で、右の目玉が、母親を向いた。

「あ、い、あ……い……!」
それでも、母親と言う生き物は強い。
真っ青な顔で、ガクガク震えながら、娘を抱き起こそうと近付いた。

「お、おい、止めろ! 近付くな!」
夫の静止は、妻の耳には届いていない。

返り血を浴び、更に血塗れになった子。
母親が娘の両脇に手を差し込んだ、瞬間。

夫の前で、妻の頭部が散った。

「あ……、あ……、何なんだ! 何なんだ、お前!」
「パパ……、みつけた……」
「パパ? 何を言って……」
血塗れの子供は、顔を上げた。
身体が凍り付いた。“棄てた女”に、生き写し。

「ま、まさか、お前! あの時、腹に居た……!」
椅子から転げ落ちた。

「復讐か? 復讐に来たのか? 母親に言われたのか?!」
子は首を傾げた。

「ふ……くしゅ、う? ……なにいってるの?
パパがほしくて、きたんだよ?」
「?!」
「ママ、おしえてくれたの。
 『殺せば、私のもの』だよ、って。
 おなかのなかのアタシに。まいにち、まいにち。
 『殺せば』、パパは『私のもの』だよ、って」

……声が出なかった。
いや、「出せなかった」のか。



首から上が消し飛んだ父親から、テーブルのケーキに視線を移した。
……いや、“愛娘”の血飛沫に染まったナイフか。

身体を反転させると、張り付いていた肉片が顔から滑り落ちた。
“父の断片”か、“居合わせた女の肉片”か。はたまた、“妹の欠片”か。

ナイフを手に取る。躊躇せず、腹に突き刺した。
膝から崩れ落ちる。四つん這いで、柄を床に引き摺りながら。
焦がれた、父の、元へ。

首から伝う血で、真っ赤に染まった、大きな手。
真っ赤な真っ赤な、小さな両手で握り締めた。

「パパと、手……つなぐの、はじめてだね……。
 パパ……、パ……パ……」





ずっと一緒。


<終>

2013/11/28  不破 慈

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[ 2013/11/28 14:07 ] 二次 -3.ShortStory[ORIGINAL] | TB(0) | CM(0)
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